JII/OFP 本音で話してお互いを知り、本当に困った時に気楽に相談できる関係性を作る(おとなりさんペア体験談 )

陶さん:中国出身で2018年に来日し、大学院卒業後は日本の会社に就職。休みの日には読書や勉強、アーチェリーをすることも。
湯本さん:金融業界で働いており、趣味は読書や語学学習、日本文化について知ること。

OFPを知ったきっかけや参加しようと思った理由を教えてください

湯本さん
ずっと英語の勉強をしていたので、英語を生かせるボランティアがないか、と探していました。そんなときにOFPを知り、日本で暮らしている外国人の方の役に立てるところがすごくいいなと思って参加しました。

陶さん
2021年に就職して東京での生活を始めたのですが、職場以外の日本人と交流するチャンスが全然なくて……。そんな中、友人から「日本人と仕事の話題じゃなく日常生活の話ができるプラットフォームがある」という話を聞いたことがきっかけです。

ペアになる前に、初めてオンラインで顔合わせをしたときの印象はいかがでしたか?

陶さん
私の気持ちを考えながら話してくれていた印象で、真面目そうな方だなと思いました。

湯本さん
日本の文化や歴史をとても勉強されている、すごい方だなと思いました。
日本人よりも日本のことに詳しい部分もあって、言い方が正しくないかもしれませんが、中国に生まれてよくここまで日本のことに詳しくなったな、非常に面白そうな方だなと。この人とであれば趣味も近いですし、面白い話もできるかなと感じました。

ペアになってからの交流の方法や頻度を教えてください

陶さん
最初に会ったのは、私が住んでいる場所の近くにあるレストランです。湯本さんがこちらまで来てくれました。

湯本さん
陶さんが選んでくれたお店にお昼くらいから夕方までいて、他愛もない話をしていた気がします。

陶さん
そうですね。湯本さんが話の内容に興味があるのかどうか、気になっていました(笑)

湯本さん
マニアックな話が多かったですね(笑)その後は、時間が合えば会って、一緒に博物館に行ったりしました。直接会えなくても、接点が切れないように、週に1回オンラインでお話しをしようということになり、それが今まで続いています。

これは僕の考えですが、用事がなくても会話をしないと関係が深まらないと思っています。お互いの都合は色々あるにせよ、僕たちの場合は、毎週土曜日の夜に時間が合えば話をするようにしました。

交流の中で、印象に残っている思い出やエピソードがあれば教えてください

陶さん
特に印象的だったのは、博物館に行った日です。この日にお互いの興味を知ることができたような気がしました。一緒に博物館を回りながら、日本の美学や歴史について話したり、湯本さんの見解を伺ったりして、とても勉強になりました。一人で行っても美術を理解するのはなかなか難しいので、いい機会になりました。本当にありがたかったです。

湯本さん
僕は以前、骨董を買ったりして、美術品を持つことが趣味でした。陶さんは中国語が読めるから、美術品に書いてある文字がわかるので、一緒に行くととても勉強になります。あとは、中国の方と日本人の目線の違いなどもあって面白いなと思いました。

僕が印象に残っているのは、陶さんのボキャブラリーの豊富さです。会話の中で、陶さんが「右大臣」という日本人でも普段使わない言葉に反応した時があって、とても勉強をされているなと感じたことがありました。陶さんと話していると「自分ももっと勉強しよう」と思いますし、刺激になっています。僕は、この交流をきっかけに中国語の勉強を始めました。

活動中に悩んだり困ったりしたことはありましたか?

湯本さん
コーディネーターの方が、趣味が合うというか、興味のベクトルが合う方を紹介してくれたので、そんなに悩みはなかったですね。自分の趣味などを陶さんに押し付けすぎかなと、ふと思うことはありますが、大きな悩みや困りごとはありませんでした。

陶さん
私も特に悩んだことはないです。ただ、忙しい時期に湯本さんと1ヶ月くらい話せなかったときは「湯本さんはどう思ってるかな」と気になったことはありましたが、その後仲良く話せたので安心できました。

期間中のコーディネーターのサポートについて、感想やご意見をお願いします

陶さん
フィードバックが毎月あるのですが、私にとっては少し頻度が高いように感じていました。毎回ほとんど同じ内容で書いていて、後半は何を書いたらいいか悩んだこともありました(笑)

湯本さん
僕は、毎月のフィードバックを書くたびに、改めてしっかりやらないといけないなという気持ちになりました。きちんと第三者の目から見てくださっていると感じていました。
ただ、陶さんと僕の場合は、コーディネーターの方が最初にフィーリングや好みが合う形でマッチングしてくれて、いいスタートが切れたので、サポートは少なくても問題はなかったかなと、結果的には思っています。

6ヶ月間の交流期間に関しては、どのように感じましたか?

湯本さん
僕と陶さんの場合は、もっと長い1年くらいでもいいかなと感じますが、ペアによってさまざまだと思うので、6ヶ月というのは適切なのではないでしょうか。僕たちは6ヶ月に縛られることなく、時間が合えば話したりと、交流は続いています。

陶さん
私も湯本さんと同じように感じています。場合によっては、6ヶ月の期間を延ばしたり、短くしてもいいかなと思います。

湯本さん
それはいいアイディアかもしれませんね。3ヶ月ぐらいで区切って延長していくということもありですよね。

OFPに参加して、どんな発見や気づきがありましたか?

湯本さん
僕は、もともと英語が好きでアメリカのニュースを観ていたので、いわゆる西洋の考え方などにはインターネットを通じて触れていました。でも、近隣のアジアの考え方は、OFPに参加するまで、きちんと理解できていませんでした。仕事でアジアの方と話す機会はあっても本音で話すことは少ないですから。今回参加して、お互いに正直に考えていることなどを話す経験ができてよかったなと思ってます。

陶さん
日本で生活していく上での言葉遣いや細かい日本語の意味がわかるようになったり、会社でどうやって謝ったら真剣さが伝わるかなどがわかるようになりました。また、中国と日本の歴史上の長い関係性の中で、自分は中国人の視点しか知らなかったので、お互いの考え方の違いについて話すことができ、視野が広がりました。

これからおとなりさんプログラムに参加される方に、メッセージをお願いします

湯本さん
中国語教室や英会話教室に行っても、外国の方と一対一で率直に意見を言い合える関係を作るのはなかなか難しいと思います。でも、OFPはプライベートなものなので、何でも本音が話せる。ぜひ日本の方には自分のためにも参加してほしいです。外国の方にとっては、日本で生活していると、話している内容がよく分からなかったり、大変なことが多いと思います。なので、相談したいなと思うなら勇気を持ってぜひ参加してほしいと思います。

陶さん
日本に来た時に一番悩んでいたのは、日本社会のルールや世間体で、これは外国人にとって分かりづらく、勉強しにくいものだと思います。
でも、OFPを利用するとそういったことがだんだんと分かるようになりました。故郷との文化の違いを理解した上で、自分がどのような立場で、どのような点を気にして、周りの人と交流したらいいかなどが分かるようになり、馴染めるようになったと思います。

湯本さん
僕も日本の文化の全てを理解しているわけではありませんが、会社などのパブリックな場面とプライベートとで意見が異なったりと、日本人が本当に何を考えているのかが分かりにくいということが多いと思います。
なので、こういう文化というか、社会の一員としての日本人との付き合い方が分かって、日本での暮らしがちょっとでも楽になったら嬉しいなと思いますね。

そして、いくらペアでも、相手が何に困っているのかを全て読み取ることは難しいと思います。実際、僕も陶さんが何に困っているのかは分からないです。日本語も上手だし、「世間体」などの難しい言葉を日本人と同じように使っているので。
ただ個人的なおすすめとしては、何も用事がなくても定期的に連絡を取ること。本当に困った時に少しでも気楽に相談してもらえるような関係性ができればいいなと思い、定期的にどうでもいいことを本音で話す時間を作り、関係を深めていくようにしています。
陶さんの方から「ミーティングをしましょう」とは言い出しにくいと思うので、まずはホストである日本人の方から、設定するというのはとても大事なことではないかと思っています。

ペアに対して、今、率直にどんなお気持ちですか?

湯本さん
僕なんかは癖の強い人間なので申し訳ない部分もあるけれど、なんでも話せる相手だと思っています。
常に大切にしたいと思っているのは、相手の意見を尊重すること。その人がどう考えるかはその人の自由で、陶さんは陶さんの考えがあって、僕は僕の考えがある。それでいいと思います。そういう関係を続けたいと思っています。
陶さんはとても大事な友人です。

陶さん
湯本さんと知り合うことができて良かったと思っています。
先ほども話した通り、自分の興味のあることを話せて、話をわかってくれるし、会いたいと思える相手がいることは幸せだなという気持ちです。本当にありがとうございます。