※この記事は2018年に開催された「幼い子との接し方としつけ」講演&相談会の内容を抜粋し編集したものです。
※英語・中国語版あり
Q. 1歳半健診で、言葉の遅れを指摘された(1歳半)
「オムツ持ってきて」と言ったら持ってきたりとか、そういったやり取りはできていたので
特に問題ないと思っていたのですが、健診で「物の名前を10個以上言えますか?」ときかれて。
「バイバイ」とか「大好き」とか、ものの名前じゃない言葉で6つか7つぐらい言えていたのですが、
それではダメだと言われました。
A.
1歳半では、単語は物の名前でなくても「バイバイ」などの生活用語を使って話していれば全く問題ないです。
「ワンワン」「バイバイ」といった音声を単語にできていれば、まず1歳半健診はOKです。
その健診の方の言ったことは、今の現場で言うと教科書どおりです。
本当の子どもの育ちや成長をあまりよく知らないで、教科書に合わせて判断してしまう方が増えているのです。
子どもの非常に多様なダイナミックな育ちと、教科書に書いてあるステレオタイプの育ちでは「ずれる」ので、
健診でそういうことを言われるのです。
1歳半健診で何を確かめているかというと、
耳が聞こえているか、言葉の意味が分かっているか、それから言葉を単語に変換できるか。
この3つができていればOKなんです。
こちらが語りかけたこと、例えば「オムツ持ってきて」「ゴミ捨ててきて」と言った時、
言ったことを理解できているなら大丈夫です。
そして一番確かなのは、一緒に生活しているお母さんが生活の中で
「あ、この子大丈夫」とか「やり取りに不自由してない」と思うようであれば、まずOKです。
子どもというのは、常に成長していく存在なので、例えば今日にできなくても、
来年のこの時までにできるようになることもある。
我が子の成長を見るときは、よその子と比べるのではなくて「3ヶ月前と比べると今はどうかな」
というふうに見ていただきたいんです。
それでちょっとでも成長変化があればOKです。
3ヶ月前に喋れていた言葉と、今喋れる言葉。それを比べると、ずいぶん増えてますよね。
だから言葉の発達は順調ということなんです。
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アドバイザー:内田良子氏(児童心理カウンセラー)
73年より東京都内数ヶ所の保健所にて相談活動を続け、98年から「子ども相談室・モモの部屋」を主宰し、不登校、非行、ひきこもりなどのグループ相談会を開いている。立教大学非常勤講師、NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーも経験。全国各地の育児サークル、登校拒否を考える親の会、幼稚園などでも講演多数。著書『カウンセラー良子さんの子育てはなぞとき』、『幼い子のくらしとこころQ&A』『登園渋り登校しぶり』