※この記事は2018年に開催された「幼い子との接し方としつけ」講演&相談会の内容を抜粋し編集したものです。
※英語・中国語版あり
Q. 言うことを聞かせるには?(3歳8ヶ月双子)
3歳8ヶ月の男女の双子です。だいぶ言葉で意思疎通できるようになってきて、
一対一だと言い聞かせることができるようになってきたけれど、二人同時になると
テンションが高くなってこちらの言葉が届かないことがよくあります。
どうすれば言うことを聞いてくれるのでしょうか。
A.
一人だと話ができるけど、二人になるとパワーも育ち具合も一緒なので2倍になるんじゃなくて2乗倍になるんですよね。
だから興奮してハイテンションになった子どもを鎮めるのはかなり難しいと思います。
そういう時の対応は、火事と一緒で初期消火が大事です。
早めに、まだボヤのうちに言うべきことを言うのです。
馬でいうと轡をかまされるのと同じで、始まってちょっとこれは危ないなと思ったらすぐ水かけると、
意外とエスカレートするのが半分から3分の1くらいになります。
例えばお店に入ったりすると、今日は何を買ってもらおうか、みたいな形でだだこねをするお子さんがよくいますが、
そういう場合はうちを出る前に
「今日はスーパーマーケットで買い物をするけど、お母さんが野菜やなんかを買うだけよ。
おもちゃとお菓子は買わないからね」と予告する。
最初にそう言うと、子どもは諦めを知るのです。
そうやって出かける前に一つフックをかけて、お店に入る前にもう一度
「今日はお買い物はこれとこれだからね、ママに協力して。おもちゃやお菓子は買わないよ」と言う。
「わかった」と言ったらお店に入って、自分が選んだ必要なものだけを速やかに買います。
あれ買おうかな、これ買おうかなとゆっくり見ていると子どもも真似てウロウロします。
私が保健所で出会った3歳のお子さんで、ミニカーが大好きな子がいました。
お父さんはお年が過ぎてから生まれた子どもなので可愛くてたまらない。
お父さんと行くと必ずミニカーを1台買ってくれて、お家に50台もミニカーがある。
お出かけするときはいつもミニカーが欲しいとねだるのです。
そこでお出かけする前に「今日はミニカーは買いませんからね」と言って、お店に入る前にも
「今日は買わないよ」と言うとちゃんと我慢できるようになった。
我慢できるようになって何日も経ったから、もう大丈夫だろうと思って言わずに出た日があったそうです。
そうすると子どもが「今日はミニカー買っていいんだね」と言ったそうです。
こんなふうに子どもはちゃんと理解し学習し、なおかつ応用できるくらい賢いので、毎回きちっと言うことなんですね。
お店の中でごたごた言ったら「もう買わずに出ますよ」と言ってお母さんがちゃんとそれを実行する。
そういうことを2度3度すると子どもも状況を理解し、諦めを知ります。
子どもはとても賢いので、侮らないで、判断力と理解力のある人間ということでお付き合いすると
また楽しくなるかもしれません。
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アドバイザー:内田良子氏(児童心理カウンセラー)
73年より東京都内数ヶ所の保健所にて相談活動を続け、98年から「子ども相談室・モモの部屋」を主宰し、不登校、非行、ひきこもりなどのグループ相談会を開いている。立教大学非常勤講師、NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーも経験。全国各地の育児サークル、登校拒否を考える親の会、幼稚園などでも講演多数。著書『カウンセラー良子さんの子育てはなぞとき』、『幼い子のくらしとこころQ&A』『登園渋り登校しぶり』