※この記事は2018年に開催された「幼い子との接し方としつけ」講演&相談会の内容を抜粋し編集したものです。
※英語・中国語版あり
Q.こだわりが強い子で、療育の先生からはカリキュラムの整った幼稚園を
勧められるが、自由保育の幼稚園に行かせたい(3歳)
こだわりが強く、自分がやりたいことができるまで1時間でも2時間でも泣き叫ぶことがあります。
現在療育に通っていますが、幼稚園選びについて療育の先生からは
「小学校への準備期間だからきちんとカリキュラムが整ったところに行った方がいい」と言われました。
親としては、兄弟が通っていた自由保育の幼稚園に行かせたいと思っていますが、どちらが良いでしょうか?
A.
その子はこだわりが強いというより「自己主張が強い」ということだと思います。
大人からするとこだわりが強いと思ってしまいますが、子どもを中心に考えると、
その子は「自己主張が強くてしっかりしている」ということで、ではその子とどう付き合うか?という問題になります。
専門家というのはこだわりが強い子を発達障害にしたがるんです。
大事なのは、専門家の言うことは話半分に聞く、そして後の半分は親の判断をしっかり持つこと。
親の判断が中心にあって、専門家の話は役に立つものや参考になるものだけを参考にする。
ちょっと合わないな、違うなと思うものは却下していく。これが保護者の役割なんです。
親というのは子どもの保護者です。専門家は子どもの保護者にはなってくれません。
専門家は、将来大変ですよとかいろいろ言うけれども、子どもの将来の責任は取ってくれません。
だからそこは、親がちゃんと見分ける、聞き分ける。
そして目の前にいる子どもを信頼する必要があります。
親から信頼された子は、自信がつくんです。お父さんやお母さんから
「この子なりに育ってる、この子なりにわかってる、この子なりにできてる、だからこの子は大丈夫」
と思ってもらえた時に、自信がしっかり身につきますので、そのあたりのことも意識していただくといいと思います。
幼稚園についてですが、個性のはっきりした自己主張が強いお子さんに関しては、自由保育がいいです。
自由保育にして、のびのびと自分のやりたいことをやったり試したりするうちに、
ここまでしちゃダメなんだとか、限界がわかってきます。
学校と同じようなプログラムできちんとやっているところでは、反発する力がすごく育ってしまいます。
大人も、縛られると解きたくなるでしょ。縛られなければ解く必要がないからそこで収まります。
個性の強い伸び伸びとした子は、縛られるところへは入れない方がいいと思います。
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アドバイザー:内田良子氏(児童心理カウンセラー)
73年より東京都内数ヶ所の保健所にて相談活動を続け、98年から「子ども相談室・モモの部屋」を主宰し、不登校、非行、ひきこもりなどのグループ相談会を開いている。立教大学非常勤講師、NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーも経験。全国各地の育児サークル、登校拒否を考える親の会、幼稚園などでも講演多数。著書『カウンセラー良子さんの子育てはなぞとき』、『幼い子のくらしとこころQ&A』『登園渋り登校しぶり』