※この記事は2019年に開催された「幼い子との接し方としつけ」講演&相談会の内容を抜粋し編集したものです。
※ 英語・中国語版あり
Q. 毎日同じ服を着たがる(5歳)
5歳の娘が毎日同じ服を着たがります。
1年前はプリキュアが好きで土日は必ずドレスを着たがり、今は寒いのに半袖にひらひらのスカートで、
ズボンを絶対に履きたがらない。親としては恥ずかしいのでイライラして手をあげてしまうこともあります。
小学校になるとみんなと同じ体操着を着たりするので、小学校に上がるまでに治るのかなというのが不安です。
A.
着るものって鎧なんです。なので自分に合った鎧が欲しいんです。
青や赤などの色で鎧を着る子と、キャラクターが自分の分身という子もいます。
冬でも真夏の装いをする子もいるし、逆に真夏に冬の装いをする子もいます。
でもその子はそれを着ることでハッピーになり、安心するという状況なんです。
だからお気に入りのものは2、3枚用意した方がいいでしょう。
「あなたはこれを着るのが好きなのね、これを着ると安心するんだ」と言ってもらえると、
わかってもらえた安心でこだわらなくなったりもします。
引き離そうとされると、不安なのにそれを奪い取られたらもっと不安になるのでさらに着たがる。
『北風と太陽』と同じですね。
自己主張が強い子の場合、最初は自分が中心で頑張りますけど、成長して小学校に入る頃になると
周りにどんどん同調するようになるんです。
「みんなと一緒がいい」とみんながやっていることを取り入れるようになります。
そういうわけで基本は心配いりませんが、いじめられている、先生が厳しくて不安で怖いという時には、
自分の鎧はしっかり着ていかなければダメなので、絶対に鎧を着たがります。
そういうことがあるので、どうしてもと言い張る時は、その子はうちの外で不安を抱えている可能性があります。
その服装をすることで安心して行けるなら、鎧は何枚も着ていった方がいいんです。
幼稚園、保育園、学校に行きたくないという時に、服装にこだわる子はよくいます。
集団の中に自分を迫害するもの、自分に危害を加えるものがあるから怖い。
だから準備を整えていきたいということがあるので、その辺のところは尊重してあげてください。
「何か嫌なことがあるのかな」とか「最近とてもそういうところで頑張るようになったけど、それって鎧なんだよね、
それを着る時は自分を守らないといけない時なんだけど何かあるのかな」と話を聞いてみてあげてくださいね。
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アドバイザー:内田良子氏(児童心理カウンセラー)
73年より東京都内数ヶ所の保健所にて相談活動を続け、98年から「子ども相談室・モモの部屋」を主宰し、不登校、非行、ひきこもりなどのグループ相談会を開いている。立教大学非常勤講師、NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーも経験。全国各地の育児サークル、登校拒否を考える親の会、幼稚園などでも講演多数。著書『カウンセラー良子さんの子育てはなぞとき』、『幼い子のくらしとこころQ&A』『登園渋り登校しぶり』