「子どもたちはちゃんとついていけるんですね!」
開催後、参加者の保護者からそんな驚きの声を頂きました。
「そうなんですよ。中国語の後に、日本語の補足をしてあげたほうがいいじゃないかって実は始めたときにとても悩みました。しかし、子どもたちが聞きなれていない言葉の中でもせっかく一生懸命遊びについていこうと思ってるのに、どうせ日本語で説明してくれるからと分かったら、自分から努力しなくなりますよね。子どものコミュニケーション手段をフルに使ってもらうために、全部中国語にこだわってるんですよね。」
そんな私の思いに、保護者の方が「なるほど」とうなずいてくれました。
今回初めて来てくれたお友達はちょっとシャイな姉妹です。最初にヤンヤンが中国語になったときに、「えっ」という表情になっていましたが、でも周りのお友達と一緒に童謡を歌ったりしているうちに、だんだん表情も和らげてきて、創作の遊びになるごろは、すっかり慣れた様子でした。
今回は七夕企画ということで、中国版の織姫と彦星のお話を紙芝居にしてみました。保護者の方ように日本語であらすじを配りました。日本では七夕のお話は、怠けてはいけないということのようですが、中国では、本当の愛が神のこころも動かせたというお話です。(ご興味のあるかたは、最後に注釈をご覧ください。)
実はこの壮大なラブストーリーを紙芝居にするのがとても苦労しました。こともたちが絵をみただけでもストーリーがわかるように、「一枚の絵に短めの一言」というふうに絵を増やし、こまめに言葉を入れる工夫をしてみました。その結果、なんと40枚あるロング紙芝居になりました。でも実際やってみると、絵に出てきた仙女や織姫、牛郎(彦星)が日本とは全く違う衣装や髪型をしてますし、異なる話の展開に釘付けになりました。
そして、七人の仙女たちの服の色を中国語で当てるカルタ遊びや仙女たちの絵を使ったパズル、中国切り紙を切って子どもたちにプレゼントしました。みんなは夢中になって、大喜びでした。
シーヤンヤンクラブを開催しているうちに、子どもたちの変化を読めるようになりました。
ただし、保護者にとって、中国語は英語ほどなじみがないので、ずっと中国語だと、お母さんやお父さんがちょっとつらそうです(笑)。それは今後できるだけプログラムの内容と意図も添えるようにしていきたいと思います。
小人数だからこそじっくり遊んで、子ども一人ひとりのペースに合わせてことばをかける。そんなゆったりした時間の中で、子どもたちが少しずつ中国に興味をもってくれたらいいなと思いながら、次回の企画を始めました。
★中国の七夕★
「むかしむかし、牛郎(niu lang)織女(zhi nv)はもともと天に住んでいた仲良しの神様でした。しかし、過ちを犯し、罰を受けました。
織女(zhi nv)は雲を織る仕事を与えられ、牛郎は人間になり、貧しい家に生まれ変わりました。牛郎は家が貧しくて、一匹の牛と暮らしていました。その牛も実は罰を受けていた牛の神様でした。
ある日、牛は突然牛郎に話をかけ、「近くの池に行きなさい。そこにいる赤い服の女の子はあなたの妻です」といいました。
牛郎が牛の言う通りに池に行くと、確かに七人の仙女が池で水遊びをしていました。赤い服を着ていた織女を見て、牛郎が一目惚れしました。織女もそれが牛郎だとすぐに気づきました。そして、織女はそのまま人間の世界に残り、牛郎と結婚しました。二人はとても仲が良くて、幸せに暮らし、二人の子どもも生まれました。
しかし、織女が勝手に人間と結婚したことが母の王母に知られ、王母が激怒して、織女を天宮に連れ戻すよう天兵に命令しました。ちょうどその時に、牛様が亡くなってしまい、自分の皮を牛郎にプレゼントしました。織女を追いかけるために、牛郎が牛様の皮を羽織って雲にのり、子どもたちを連れて天宮までいきましたが、天宮の前の銀河を渡ることができません。
天の川の両側に立つ織女と牛郎が何年も何年も見つめあい続け、一歩も離れようとしませんでした。二人の純粋な愛に王母が感動して、年に一度、7月7日の夜に会うことを許しました。
それから、毎年7月7日になると、たくさんの鵲(カササギ)が集まって天の川の上に橋を作り、牛郎と織女が鵲の橋で再会できました。