※この記事は2018年に開催された「幼い子との接し方としつけ」講演&相談会の内容を抜粋し編集したものです。
※英語・中国語版あり
Q.テレビを見たがってぐずる(3歳)
テレビを見ていると受動的になるというので、小さいうちはできるだけ見せずに、
自分で手を動かしたりするような遊びをして欲しいと思っています。
そのため今までは歯磨きの時に10〜15分だけ見せるようにしてきたのですが、
最近それでは足りず「見ないなら◯◯したくない!」という感じで、見るまでぐずります。
見せずにうまくやるにはどうすればいいのでしょうか。
A.
確かにテレビの見せすぎはよくないんですが、短時間だったらOKです。
4時間、6時間、8時間と長時間見せている方もいて、それは長すぎなので、
テレビを見るという受動的な遊びだけではなくおもちゃを使ったり体を動かしたりする遊びの方が
大事ですよ、ということになりますが、短時間であれば大丈夫です。
子どもの視力はまだ未熟だから、視線が近く、手元で見たりということはできればやめたほうがいいけれど、
テレビを見ている10分、15分の間にも「お母さんは今何をやってるかな?」ってお母さんの方を見たりして、
目が動きますよね。
そういうことで、テレビやスマホとの距離が固定的に長時間化しなければ、大丈夫です。
テレビは遊び道具の一つなので、上手に使ってください。
昔はおじいちゃん、おばあちゃん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、いろんな人がいたから遊び相 手もいたけれど、
最近では昼間子どもの近くにいる人はお母さんお一人でしょ。
一人で全部カバーすると大変なんですよ。
だからちょっとの間、テレビにお願いするということです。
「見てもいいよ、番組一つだけね」ってお約束をして、以前は見せてもらえなかったのが見せてもらえるようになった。
「一つだけよ」っていうのはすごく貴重だから、規則を守れる可能性が高いわけです。
だから一つ見ておしまいと言ってチャンネルを切った時に、「一つで済ますことができていい子だったね」と褒める。
「また今度楽しみにしようね」というふうに、上手に使ってください。
「テレビやスマホは絶対ダメ」というのは、今の日本の社会では無理です。
お母さんが一生懸命きちっとやろうとすると、お母さんがくたびれちゃう。
それで見る、見ないということでお子さんとの関係が崩れてしまって、
その後回復するのに手間取るってことがあるじゃありませんか。
だから上手につき合う、ということだと思います。
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アドバイザー:内田良子氏(児童心理カウンセラー)
73年より東京都内数ヶ所の保健所にて相談活動を続け、98年から「子ども相談室・モモの部屋」を主宰し、不登校、非行、ひきこもりなどのグループ相談会を開いている。立教大学非常勤講師、NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーも経験。全国各地の育児サークル、登校拒否を考える親の会、幼稚園などでも講演多数。著書『カウンセラー良子さんの子育てはなぞとき』、『幼い子のくらしとこころQ&A』『登園渋り登校しぶり』