【子育てはなぞときQ&A集】父親が忙しくて子どもとほとんど接していません

※この記事は2019年に開催された「幼い子との接し方としつけ」講演&相談会の内容を抜粋し編集したものです。

※英語・中国語版あり

 

Q. 父親が忙しくて子どもとほとんど接していません

 

夫は自営業で忙しくていないに等しく、いたとしても家では寝ているので子どもと接する機会がほぼありません。

あったとしても挨拶程度。私はそれでよしとしていますが、どうすれば自分が母親と父親の役割を果たしていけるか、悩んでいます。

子どもは少ししか関われない父親に対してこれからどう思うのかなと心配しています。


A.

100%ワンオペ育児という大変な状況で頑張ってらっしゃるんですね。

 

女性って政治家に向くと言われているんです。というのも、ワンオペで日々いろんなことをこなしているから、

いろんなことを判断して現実に適応して考えられます。

日本は今、過渡期だと思うんです。シングルマザー、シングルファーザーが若い世代だとほぼ半数近くという説もある。

アメリカでも半数はシングルだといいます。

 

だから父親や母親という役割、いわゆる性別の役割分担という考え方ではなく、

子どもとどう人間的にコミュニケーションしていくか、小さくても一人の人格としてどう尊重して付き合うかということなのです。

そうすると、マンツーマンでいいわけです。私も人間、あなたも人間。

経験を積んでいる私が伝えられることを、まだ経験を積んでいない子どもに伝えて

「私をモデルに自分でやってね」というので十分なんです。

 

「お父さんがいないから、あれが足りない、これが足りないから、あなたはかわいそうだね」と言われると、

子どもは本当にそう思ってしまいます。

でもお母さんが「これが私ができるベストで、これが我が家の幸せなのよ」と言葉で伝えるだけで、

子どもは「これが一番いい生活で、これが我が家のベストなんだ」と納得するんです。

 

それから、お父さんが帰ってきた時に子どもは寝ていていないけど、「子どもはどうだった?」とか「寝顔がかわいいな」と言うこともありますよね。

そういうのを、お父さんがいない時に子どもに伝えてあげるんです。

「お父さんが、昨夜あなたの寝顔を見てかわいいなって言ってたよ」と伝えると、寝ている時でも

愛のある眼差しで包んでもらえたという満足感になります。

 

それから、子どもがお父さんについて色々言うこともお父さんに伝えてください。

 

また「お母さんはすごく忙しくて大変なの」というのもありのまま伝えてあげるんです。

「忙しくて大変。だからママは今日イライラしてるからね」と伝えておくと、子どもも付き合い方がわかります。

 

あと大事なのは、そういうことを夫にも言うことなんです。

「今日は子どもが言うことを聞かなくて大変だった」とか、いろんなことがあったというときはメールで夫に

「今日こんなことがありました。私はぶちキレそうです」みたいなことを送ると、慌てて帰ってくることも多いそうです。

今の本当の状況を伝える。直接相手にいうのは難しいけどメールやLINEだと伝えやすいので、相手も状況がわかって心の準備をして帰ってくる。

いたわったりねぎらったり認めてくれたりして、だいぶ関係が良くなる方も多いです。

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アドバイザー:内田良子氏(児童心理カウンセラー)

 

73年より東京都内数ヶ所の保健所にて相談活動を続け、98年から「子ども相談室・モモの部屋」を主宰し、不登校、非行、ひきこもりなどのグループ相談会を開いている。立教大学非常勤講師、NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーも経験。全国各地の育児サークル、登校拒否を考える親の会、幼稚園などでも講演多数。著書『カウンセラー良子さんの子育てはなぞとき』、『幼い子のくらしとこころQ&A』『登園渋り登校しぶり』