※この記事は2019年に開催された「幼い子との接し方としつけ」講演&相談会の内容を抜粋し編集したものです。
※本相談会は日本人と外国人が一緒に参加した子育て相談会で、文化を超えた子育ての悩みや知恵を共有する場にもなりました。
※ 英語・中国語版あり
Q. 保育園では良い子なのに家ではイヤイヤ(2歳半)
保育園ではご飯もよく食べてあまり泣かない良い子ですと言われるんですが、土日と平日夜の甘えがすごくて、
イヤだイヤだと泣いたり、ご飯の時も食材でおままごとをしたりして遊んでばかりです。
特に眠い時とお腹が空いた時にイヤだイヤだと言って機嫌が悪く、こちらもイライラしてしまいます。
叱ってばかりもよくないと思うし、どのように対処すればいいのでしょうか。
A.
保育園ではちゃんとできる、ということはTPOを心得ているということなんですよね。
どこかの場所でちゃんとできているなら良しとしましょう。
一生懸命過剰適応した分、自分自身の中でバランスを取るために地を出して、私の段階は今こういうところよ
ということをお母さんに見せてくれているということだと思うんです。
外でやっているからいいや、今は疲れて甘えてるのね、と受け止めて、お母さんがしつけ的にこれはと思った時は
「外で頑張ってきたからうちでは手抜きしたいのね」と一言添えていくと叱らずに済むんです。
叱り始めるとこちらがたまったものもばっと出てくるから、結構怒涛のように出てくるけど
「今日も保育園で頑張ってきたんだね、連絡帳にこんなこと書いてあるもんね」と言ってくれると、
子どもはそれですごく報われるんです。
外で頑張ってるからうちでは甘えるというのは、
お父さんが会社で頑張ってるからうちでは何もしないというのと同じ状況です。
集団生活に入っているお子さんは、早期に過剰適応し、集団に合わせて自分を出せないという、
結構レベルの高い生活をしているので、そこを汲んであげてほしいなと思います。
それから、1歳代後半から2歳代になると、イヤだイヤだの連発ですが、これは1歳代から3歳くらいまでのお返事がわりと思ってください。
子どもも自分の都合があるわけです。それなのに「さあお風呂」「さあご飯」となると、
「僕は今遊んでる最中だからすぐ切り替えられない」ということを言葉で説明できないから「イヤだ」になるわけです。
「ちょっと待って」「後で」がみんな「イヤだ」になるのです。
「イヤだ」は拒否ではなくて「ちょっと待って」ということなので、こちらの方も単語をそのまま受け取らない。
「イヤだ」を受け入れてあげるということです。
「イヤだ」と言った時その子が何をしているか見て
「一生懸命遊んでいる最中だったのね。それが済んだらおいで」とかね。
「お風呂入るよ」というと、たいていの子が「イヤだ」と言います。
「テレビ見てるのね、おもちゃで遊んでいるんだね、お母さん先に入るからね」と言って場を離れると、
だいたい追いかけてくるでしょ。
「何やってるの、早く来なさい」と怒っていると、「イヤだ」が長引くんです。
「イヤだ」と言うことについて、我々大人が言うことを聞かせようと思ってこだわらないことがとても大事です。
もう一つ、子どもは場面の切り替えができない人たちなんです。
泣き出したら泣き止まないということがありますよね。
その時に「気がすむまで泣いていいよ、お母さんちょっとお茶碗洗ってくるから」などと言って、
お母さんがその場を離れた途端に泣き止む、あるいは後を追いかけてくるということがあります。
場が切り替わるから、子どももそれに合わせて動くんです。叱られて硬直した場面から切り替える。
そこを親が離れるだけで、切り替わるんです。
ただ、その時に行き先だけは言ってあげてください。
「ちょっとトイレに行ってくるね」とか言うと、「ママ~」と泣きながらついてきます。
そういうことがあるので、場の転換を図ってあげるということです。
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アドバイザー:内田良子氏(児童心理カウンセラー)
73年より東京都内数ヶ所の保健所にて相談活動を続け、98年から「子ども相談室・モモの部屋」を主宰し、不登校、非行、ひきこもりなどの
グループ相談会を開いている。立教大学非常勤講師、NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーも経験。
全国各地の育児サークル、登校拒否を考える親の会、幼稚園などでも講演多数。
著書『カウンセラー良子さんの子育てはなぞとき』、『幼い子のくらしとこころQ&A』『登園渋り登校しぶり』
==== 主催者について =============================================
JIIは「文化共生」をビジョンに、日本に暮らす外国人住民をサポートする非営利団体です。
日本で初めて「おとなりさん・ファミリーフレンド・プログラム(略称OFP)」(ENGLISH)を立ち上げました。
日本人住民がボランティアになって、同じ地域で近くに住む外国人住民とペアを組み、
半年間一対一で対面やオンライン、チャットなどを通じて、直接交流し、個別にサポートを行う画期的な仕組みです。活動中は、交流がスムーズに行えるようOFPコーディネートがフォローし、外国人住民からの難しい相談は当会の専門家チームが対応しています。
東京を中心に、260名以上のotonarisan(日本人ボランティア)と33ヶ国や地域を超える外国人住民が参加しています。外国人住民が日本での生活、文化、日本語、地域コミュニティなどになじみやすくなるだけでなく、様々な文化に触れたい、視野を広げたい、困っている外国人住民の役に立ちたいと思うボランティアが活躍する場でもあります。
その他、外国人住民向け【暮らしの相談】もできます
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