【JII/難民・避難民生活支援】その国の「人・家族」を知る。日本からの距離が遠くても、身近に考えることができ、よりつながりを感じられる。(ボランティア体験談)

JII難民・避難民生活支援事業:東智美さん

東さんはウクライナ避難民家族の子どもを、来日直後から2年にわたり日本語学習を通してサポートしてくださっています。

 JIIが行う難民・避難民生活支援は、難民・避難民が中長期的に日本で自立した生活を送れるようになることを目的にしています。
OFPに登録されている「おとなりさん」でチームを組んでサポートを行っています。
”一般の方”それぞれが持つ経験やスキルを活かし、彼らの日常生活を直接サポートするという、難民・避難民支援の新しいかたちを実践しています。

 今回は、おとなりさんとしても活動されている一方でウクライナ避難民ご家族の生活を言語面でご支援いただいている東さんにお話しを伺いました。

JIIを知ったきっかけはなんですか?

普段は大学教員として働いていて、主に東南アジアの地域を研究しています。
また、夫が外国人で、普段から夫の友人に翻訳を頼まれたり、行政の手続きついて相談されたりすることがあり、自然と日本語学習支援のボランティアに関心を持つようになったと思います。他団体にボランティア登録をしていますが、仕事の都合などでなかなか活動に参加できなかった期間がありました。コロナ禍も重なり、家の近くでできることはないかとネットで検索して、偶然JIIを見つけました。

2022年2月にウクライナ侵攻が起こりましたが……

はい、2022年8月にウクライナからある家族が日本に避難してきました。
その際に、JII事務局から、生活用品の買い出しなどを行う生活支援や日本語を教える日本語支援のボランティアの募集があり、「私でよければ……」と日本語支援ボランティアに手を挙げました。それが、避難民家族への支援に関わることになったきっかけです。

どのように日本語支援を進めていったのですか?

その当時7歳の子に教えることになったのですが、初めは本当に探り探りでした。あいさつやひらがなが学べるようなスライドを作成して、身振り手振りも交えながら、週に1回のペースでオンラインで進めていました。自作の資料以外にも、ボランティア登録している他団体で使用していた日本語学習のテキストも活用していて、現在も学習のサポートを続けています。

 使用しているテキストに出てくる例文をアレンジして、なるべく身近なものに結びつけることを意識しました。また、「〇〇が好きです/好きじゃないです」という内容は理解がしやすかったようで、会話が弾んだことを覚えています。

長期間にわたる日本語支援のモチベーション維持は大変ではなかったですか?

最初の頃にしていたような資料作成が続いていたら、もしかしたら大変だったかもしれません。しかし、使える教材があったので、うまく組み合わせながら学習を進められたのがよかったです。
また、学ぶ側にとっては対面の方が良いとは思いますが、オンラインで自分に無理のないペースで進められたのも継続できたポイントなのではないかと感じています。

今回の支援の中で難しかったことは何ですか?

彼女(当時7歳の子)は日本語が全く分からない状態からのスタートで、私もロシア語ができるわけではないので、「分からないことが分からない」という状況に対するもどかしさはありました。それでも、翻訳機能で調べたりイラストを見せたりして、理解度を確認しながら、少しずつ進めていきました。ここは、教室などでの集団授業ではない一対一の関わりの良さだと思います。

 また、既存のテキストがあったのが本当によかったです。テキストを活用すれば、一から全て自分で用意する必要はないので、日本語支援ボランティアを始めたいと考えている人にとってハードルが下がると思います。
今後は、日本語を使った「学習」のサポートができるとより良いなと感じています。

 今は、彼女は日本の小学校に通っているので、学校から音読などの宿題が出されていると思いますが、その時に、彼女の両親は日本語が全て分かるわけではないので、そのあたりへのサポートがあるとよりスムーズに日本での学校生活に適応できる様になるのではないでしょうか。

日本語支援全体を通して感想を聞かせてください。

やはり日本語の理解度や成長を実感できますし、総じて楽しいです。「どうやったら分かりやすく伝わるかな?」などと、色々と試行錯誤しながら進められるので私自身も勉強になっています。

 そして、今回であればウクライナですが、その国の「人・家族」のことを知っていると、日本からの距離が遠くても、身近に考えることができ、よりつながりを感じられると思います。

東さん、お忙しい中インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!
今後ともよろしくお願いいたします。