【活動報告】赤い羽根共同募金 外国にルーツがある人々への支援活動応援助成 第5回

当団体は、赤い羽根 ポスト・コロナ社会に向けた福祉活動応援キャンペーン「外国にルーツがある人々への支援活動応援助成 第5回」を受け、地域住民が主体となって外国人住民のサポートを行う「おとなりさん・ファミリーフレンド・プログラム(OFP)」、「スポットおとなりさん(SOFP)」、「はなまるクラス」の活動を行うことができました。(助成期間:2024年10月~2025年5月)

活動の概要

おとなりさん・ファミリーフレンド・プログラム(OFP)  

OFPでは、日本人がボランティアとして同じ地域に住む外国人住民とペアを組み、半年間一対一でサポートや交流を行います。2024年度までの累計で、首都圏にてボランティア600名以上、40ヶ国を超える外国人参加者が参加しています。丁寧なヒアリングとフォロー、専門家チームによる対応など、参加者が安心して活動に取り組める仕組みが高く評価され、多くの人が知人などからの口コミを通じて参加しています。また、OFPに参加することにより得られる効果を明らかにするため、大学の研究者と協働し外国人参加者への効果測定アンケートの収集を開始しました。

スポットおとなりさん(SOFP) 

SOFPでは、日本で暮らす外国人を対象に、福祉・医療・教育・ライフライン領域など生活に欠かせないことに対して、ボランティアが単発でサポートを行う活動を行いました。運用開始に向けて仕組みづくりや各種ツールの作成に取り組み、2025年2月に運用を開始しました。現在、登録ボランティアは50名を超えています。これまで発達障害児の相談同行、妊婦健診同行、乳児健診同行などの依頼がありました。

外国にルーツのある子ども向け学習支援「はなまるクラス」

外国人の親を持つ小学校入学前〜低学年の子どもを対象に、ひらがな、カタカナなどの基本的な日本語練習、宿題のサポートなど定期的な学習支援をおこないました。同時に、子どもの付き添いで来る保護者の待ち時間を活用し、希望する保護者に対してボランティアが日本語での会話練習をおこないました。OFPの登録ボランティアが活動を担っており、一度参加した子どもと保護者はその後継続的に参加することがほとんどで各回の参加人数が累積的に増えています。 

活動の成果

継続的な活動に加え、年度報告書冊子の作成・配布、SOFPのサイト構築、SNSによる広報活動などによりさらに多くの方に活動を知っていただく機会が増えました。活動の規模を広げることで、より多くの日本人と外国人住民の間に顔の見えるリアルな人間関係を作ることができました。OFPやSOFPへの参加をきっかけに、外国人住民は身近で信頼できる日本人の相談者を得ることができ、日常生活で起こる具体的な困り事の解決、日本語レベルの向上、日本の常識への理解、生活ルールを身につけることなどができます。それにより外国人が日本社会にスムーズに溶け込むための知識、スキル、知恵を得、孤立せずに日本で自立的に暮らす力を向上させることができたと考えています。 

課題と今後の取り組み

昨年度は日本への外国人入国者数が過去最多を記録し、訪日外国人観光客の増加が注目を集める一方、オーバーツーリズムに伴う課題意識が高まっています。また少子高齢化を背景に、さまざまな産業における外国人労働者への依存が一層強まっていますが、一方でそれに伴う治安の悪化や社会不安を煽るような差別的言動が、インターネット上を中心に横行している状況もあります。そのような中で、従来の「国際交流」や「一方的な外国人支援」とは異なるOFPやSOFPの仕組みは日本人にとって外国人住民に対する理解を深め、異文化対応力や経験値向上をもたらすとともに、外国人住民の実態や課題について理解を深めるきっかけとなり、偏見、差別、ヘイトなどの社会的リスクの軽減につながるものと考えています。 

引き続き、日本人と外国人のリアルな関係構築と相互理解を促進できるよう以下のことに取り組んでいきます。 

  1. 活動を継続させるための安定的な資金確保 
  2. より多くの外国人住民の参加を目指し、企業や行政、自治体等との協力体制を作る 
  3. 外国人住民のニーズとボランティアによるサポートの最適なマッチングを目的としたITプラットフォーム構築 

ご支援いただきありがとうございました

ご寄付、応援いただきました皆様、改めましてありがとうございました。皆さまの支えにより、活動を推進していくことができました。心よりお礼申し上げます。これからも、日本人と外国人住民がお互いの違いを尊重して「良き隣人」として生きる、文化共生の実現を目指していきたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。