赤い羽根共同募金 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン「外国にルーツがある人々への支援活動応援助成 第4回」の助成を受け活動いたしました。【助成期間】2024年4月~9月
活動内容
日本初となる地域住民ボランティアによる外国人住民を受け入れる「おとなりさん・ファミリーフレンド・プログラム(OFP)」を中心に活動してきました。OFPは日本人住民がボランティアとなり、同じ地域に住む外国人住民とペアを組み、半年間一対一で直接サポートや交流を行います。2023年度までは、首都圏にてボランティア500名以上、40ヶ国を超える外国人参加者が参加しています。丁寧なフォローや専門家チームの対応があり、OFPが安心して真面目に活動できる仕組みとして高く評価されています。
1【おとなりさん・ファミリーフレンド・プログラム(OFP)の運営】
助成期間中に、参加者向けプログラム説明会は24回開催しました。新たにおとなりさんボランティアが82名、外国人参加者が75名増えました。 マッチング会議を20回を開催しました。新たに54人がペア活動を始め、50人が半年間の活動を完了しました。参加のきっかけについては、従来のインターネット検索に加え「知人の紹介」 が多くあげられ、口コミなどで広がり、知人の紹介がきっかけの参加者が引き続き増加しています。
2【スポットサポート】
OFP及びスポットおとなりさんに関わるボランティア7名育成しました。またスポットおとなりさんの仕組みづくり、関連ツールの作成に取り組みました。難民・避難民に対して、外部団体と連携を図りながら、医療、子育て、就職、言語サポーターを行いました。また、外国にルーツを持つ青少年の進学相談を受け、学校見学の同行などのサポートも行いました。
3【日本語トークカフェ】
オンライン日本語トークカフェを30回開催しました。日常生活の場面において、テーマについてボランティアと会話し、修正点をフィードバックしてもらい、日本語の会話力の向上を図る場を提供しました。
活動成果
昨年から継続的に活動することによって、さらに多くの方にOFPの存在を知ってもらい、多くの日本人と外国人住民の間に顔の見えるリアルな関係を創出することができました。地域の日本人住民が情報のハブや相談役となり、外国人住民の様々な課題解決に直接手助けしています。それをきっかけに、外国人住民が日本での生活になじみ、地域活動にも参加できるようなります。
外国人住民にとっては、身近な人が最も相談しやすい存在になるため、OFPに様々なバックグランドの外国人住民が参加するようになり、行政情報、福祉情報のアウトリーチの役割もはたしています。
参加者の声を一部紹介します。
◆外国人参加者(日本語訳)
「おとなりさんのおかげで、日本語を話すことに自信が持てるようになったし、食事や会話を通して日本の文化への理解が深まりました。」
「1、2週間ごとに、東京の有名な場所に連れて行ってくれたり、一緒に食事を楽しんだり、日本語を教えてくれたり充実した時間を過ごしました。」
「交流の中で疑問や困ったことがあるたびに、コーディネーターがプロフェッショナルで丁寧なフィードバックやアドバイスをくれました。」
「私のあまり上手ではない日本語をとても辛抱強く聞いて、理解しようとしてくれました。」
「私が住んでいる地域の新しいカフェや図書館、いくつかのアプリの使い方などを教えてくれました。おとなりさんと過ごす時間は本当に楽しいし、知らないことを教えてもらえて本当に助かっています。」
◆おとなりさんボランティア(日本人参加者)
「私以外に日本語で会話する相手がいないと聞いて、日本に住んだからといって日本人の友達ができるわけではないのだなと分かりました。」
「初めのうちは言語の問題でなかなかうまく話ができなかったのですが、ペアの方が頑張って日本語を勉強されたこともあり徐々に深い話ができるようになりました。また、言語に少しずつ慣れるにつれて、彼女自身が仕事を始めたりしてより自信を持ち始めているのがとても印象的でした。」
「活動を通じて、純粋に友人を一人得られたと思っています。私個人としてもテニスを再開するキッカケにもなり、運動不足が解消された点も感謝です。」
「子育ての仕方や価値観の違いにとても驚き、自分の子育ての参考になりました。」
「最初はボランティア意識がありましたが、後半からは友達と連絡を取るような感覚で連絡して予定を立てていました。海外ならではの価値観や行動力に刺激を受けて、とても充実した半年間でした。」
活動を通して見えた課題
活動を通して見えてきた課題もいくつかありました。今後の取り組みで解決していきたいと思います。
◆行政からの情報発信が届きにくい
外国人住民にとって、慣れない日本の社会システムに対して、積極的に情報収集し、判断することが大変難しいです。行政情報を届けるには、身近に直接知り合いを作ることがとても効果的な手段と言えます。
◆支援リソースの効率的な配分を行う必要がある
当会のみならず、様々な支援活動を行っている団体があります。しかし、サポートが必要な人とサポートする側の間に情報差が大きいため、支援に偏りができたり、支援からこぼれ落ちている人も多い現状があります。
今後取り組みたいこと
◆OFP活動を継続させるために安定的な資金確保に取り組む
◆外国人住民のニーズとサポートリソースの最適化を図るためのプラットフォーム構築に取り組む
◆さらに多くの日本人の関わりを創出し、企業、自治会等と協力しながら参加者を増やす
ご支援いただきありがとうございました
外国人住民との共生は、グローバル時代における日本社会の重要かつ新しい課題です。言語、制度、社会システム、文化習慣の壁によって外国人住民がスムーズ環境になじめない状況が起きています。一方で、周りに外国人をよく見かけるようになっても、実際4割の方は外国人と全く接点がないという調査結果があります。
我々の活動は外国人住民を助けるだけではなく、日本人と外国人が身近で、小さいな楽しい関係から支えあう関わりを持つことにより、文化共生の実践を促進しています。我々の活動に関心をもっていただき、ご支援、ご理解を頂いたことに心より感謝を申し上げます。寄付してくださった皆さんのおかげで、OFPが少しずつ多くの方に届き、それぞれの地域で共生に向けて歩むことができました。本当にありがとうございました。